作ったものが売れるという高校生の驚き

  僕が通っていた高校での文化祭に、所属していた美術部陶芸班では1年かけて作った作品を販売するのが恒例でした。どんなに大きな壷でも、大皿でも1000円以内の価格で販売する事をルールにしていました。湯呑だったらせいぜい300円ぐらいです。しかし、部活顧問の先生達は美術や建築を教えているような教職員なので作品のレベルの高さはプロ並です。だから、文化祭初日には校門が開くと地域の主婦達がいいものを手に入れようと殺到する人気の催しになっていました。
 
 先生達の大量の作品に混じって僕の作った湯吞とか花入なんかも並べて販売されました。それも飛ぶように売れていきました。当時はバブルの絶頂期でしたが、あっという間に売れて行く様子は高校生には衝撃的でした。
「僕が作りたくて作ったものを、喜んで買ってくれる人がいるんだ!」という現象を目の当たりにした訳です。

 文化祭が終わってしばらくたって僕が小田原市役所に行ったら、なんとロビーに文化祭で売った一輪挿しがなにげに置いてあるのを見つけました。一輪差しには花が活けられています。何とも不格好なものだったので印象深い作品でした。
 「買ってくれた人は、こうして僕の知らない所で使ってくれているんだ」という事実も知りました。

 「自分は陶芸家になれる」という思い込みをいっそう強くした出来事でした。
 あの時に再会した一輪挿しの姿を今でも思い出します。
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