画家になりたい

 子供の頃いろいろなものを作った。ゲーム機なんかも無い時代なのと、まったく勉強にも熱心ではなかったので時間がいっぱいあったのだろう。歯磨きチューブの長細い空き箱に竹串を刺し、牛乳瓶の蓋を車輪にして、色紙を貼ってレーシングカーを作ったり、、、そういえば、飼っていたハツカネズミを運転手がわりに閉じ込めて、集落を自転車で引っ張って遊んだ記憶も蘇ってきます。作って遊ぶだけではなく、作ったものを人にあげるのも大好きでした。リヤカーを引いて豆腐を売りに来るお姉さんは僕のアイドルで、子供ながらに気を引こうと折り紙を折っては渡したりしていました。

 小学校の高学年になると、一つの事に集中して打ち込む楽しさも知りました。ある日、民芸玩具の内職をしていた母親が2cm×3cmの板きれを何千枚もダンボールにいっぱい持って帰ってきたことから始まった。よく見ると、板には「無事カエル」の刻印。板の上には小さいカエルが乗るはずだったらしいが生産は中止。いらないものを母がもらってきたのです。この板に僕はハマった。それはドミノ倒しにちょうど良かった。それ以来、家中の床一面を使って何度もドミノ倒しが繰り広げられた。失敗しても何度も繰り返し、達成感を味わう。今から考えれば優れた玩具だ。

 中学になると僕は油絵を描くようになりました。美術館で見たゴッホの絵が始まりで、強烈に色彩を塗り重ねる事を真似してみたくなったのです。古本屋で見つけた「炎の画家ゴッホ」(式場隆三郎著)を読んで、その衝動は一気に加速。親が画材道具をプレゼントしてくれた事で実現。まずはタンポポを「ひまわり」に見立てて描いてみた。しばらくすると当然、ゴッホにはなれない事に気がつき、しっかり勉強して「画家になりたい」。そういう意志が少しずつ僕の中に芽生えていきました。
(写真は1996年にひと月かけてゴッホの足跡を訪ねた旅で、ゴッホ終焉の地フランスのオーベルにて撮影したもの)
<< 陶芸しばしば凍芸? | main | 美術部 陶芸班 >>