数寄者 佐藤禎三先生のひな祭り

数寄者(すきしゃ) 佐藤禎三先生が催されているおひな祭りに行ってきました。
佐藤禎三先生は僕が独立して間もなくの頃に、札幌で僕の品物を見たのがきっかけで工房に訪ねて来られました。
その時に失敗作品として転がしていたものをご覧になり「これ!えーな〜」と言われました。
「これ、頑張ってやりなはれ」と励まされ、今日まで続いているものが「黄粉引」です。
あの時は今のような完成度がないものでしたが、審美眼によってそれを見て取ったのは、数寄者として多くのものを見尽くしたからこそかもしれません。佐藤禎三先生との出会いは僕にとって大きなものとなりました。

毎年、おひな祭りのご案内を頂いているものの遠方にてなかなか行けませんでしたが、幸運にも今年は3月2日に大阪に居ることが叶いました。
実は、この佐藤禎三先生のおひな祭りは有名で、4日間の開催で4000人の方がご覧になります。しかも驚く事に無料開放していて、さらに驚く事に一人一人に菓子とお抹茶のご接待もあるのです。そんなお話を佐藤禎三先生から聞いていたので興味がありました。

藤井寺の駅から歩いて10分。突然、風格のあるお屋敷の門構えが目に入りました。一目で分かります。
門をくぐると、大きな石を組んだ庭。手入れの行き届いた木々が絶妙な配置で植えられています。

玄関から中に入ると一階の広間に無数のおひな様が並んでいます。
江戸初期のものから現在に至るまで、奇麗に飾られていて圧巻です。

ご近所の家族連れから、見るからにひな人形の研究しているような方までいっぱいのお客様です。
皆さん一様に見入っています。



詳しくは分かりませんが、どれも風格があって、細部まで職人の手が入っていて
貴重なものだということは分かります。


鴨居の上に有名な佐藤コレクションの古伊万里のそば猪口。
5個揃いで残っている大変貴重なものです。
驚く事にこの他、3000個をすでに大阪民芸館に寄贈しておられます。


いったん、門から敷地を出て前の人について裏に回ると、建物にのれんがかかっており、
そこに入ると沢山の人がカウンターに並んで座っています。
この空間はお菓子とお茶を一人一人に提供する場所でした。


年に4日間のためだけに作られた空間。
飲食店として毎日営業出来るほどの大きさと設備、極上の雰囲気です。
僕も一服。
佐藤禎三先生とここでやっと再会。(写真中央が佐藤禎三先生)

お客様にお茶を出されたり、サインを求められたり、質問にお応えするなど先生はお忙しくされておられました。

せっかくなので、裏方に回って手伝わせて頂きました。

1日1000人にお菓子とお茶をお出しする事がどれほど大変な事か裏方に回ってみて分かりました。
裏方にはご近所の方から、僕のようにお世話になっている陶芸家の方などが3人いて、お話ししながら見事な連携プレーでこなします。年配の方にお聞きするとビックリ!30年もこのおひな祭りは続いているということでした。
僕は午後2時から7時までの5時間のお手伝いでしたが、どんだけ茶碗を洗ってお抹茶を茶筅(ちゃせん)でたてたか検討もつきません。これを朝から晩まで4日間、、、、。

訪れる子供から大人まで、、、、皆さん笑顔です。
自分だけの世界とせずに、世の人のために培った美意識を伝える努力を惜しまない。これぞ数寄者なのかもしれません。

佐藤禎三先生の数寄加減は半端ではないと「ガツン」と思い知らされました。
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